成し遂げる時に邪魔なのは怒りの感情

自分がどんなに誠意を込めて改善を訴えても、思考停止して切り捨てられたり、理解したフリをして無視したりされることはある。

 

1兆ドルコーチのモデル、ビル・キャンベルはアメフト部の経験からコーチングに関わるようになったという。

僕も部活での経験から人を動かすことがどんなに難しいか、また変わっていくこと自体の達成感とその結果ましな組織になることのよさを感じ、医療界でも活かせるのでは?と考えたことがあった。今でもできればと思っている。

 

僕の経験は非常に小規模なものではあるが大切な要素はかなり網羅していると確信している。

 

常々注意していたのは「コミュニケーションは効果的であること」だ。

つまり、むかついて喚き散らして良い方向に行くのか、あるべきゴールと方向性を具体的に示しそこにたどり着くまでの道筋を実現可能なものとして理解させてやれるか、である。

 

そこで邪魔になったのは「怒りの感情」だ。

はじめに述べたように、手強いのは、思考停止した人、自分の意見に固執する人(これも一種の思考停止である)などだ。

 

そんな人と話をしているとどうしても怒りが湧いて罵ってやりたくなる時がある。

 

それは「効果的なコミュニケーション」ではない。それはわかっているが感情は時に「反応的に」出てきてしまう。

 

最終的には、声を荒げることもなかったが、自分の中で、怒りvsここで感情的になってはいけないという思いの戦いが思考を何割か割いて、効果性が落ちるコミュニケーションであったと思う。

 

 

 

だから現時点で尾身茂先生のように穏やかな人柄を持ち、環太平洋地域のポリオを撲滅できるほどの影響力を持つことはできないと思った。

 

尾身先生は現在、新型コロナ対策分科会長を務める、いわば医療界でのコロナ対策のトップである。著者「WHOをゆく」にはポリオ撲滅を始め世界中で人を動かし成果を上げてきた先生の半生が語られている。

実はもっと武勇伝を期待したのだが、やってやった、あいつらむかついた、などのニュアンスの表現が全くなく比較的無味乾燥な作品である。

 

そこに先生の、マイナスの感情に動かされない人間性が表れていると思う。この感想はいずれ書きたい。

 

岩田健太郎先生の著書も数冊読ませていただいた。「感染症パニックを防げ-リスクコミュニケーション入門-」に同様の話が載っているが、岩田先生は比較的怒りを持ちやすくそれに影響されやすい人だと思う。というよりも僕も同じようなものでそれが普通ではないかとも思う。

 

むしろ尾身先生の方が超人的だ。

 

現時点では尾身先生のようになれない、と言ったが現時点では、だ。

この1年前程度まで思考停止していた僕がここまで成長できた(と自分では思っている)のだからいくらでも変われると思っている。

 

怒りを生む刺激から反応的に怒りが生まれる、その刺激と反応のスペースに何があるか意識することを何年も繰り返せばきっと反応的にすら出なくなることを期待したい。